古い抵当権の登記が残っていませんか?

相続登記をご依頼いただいた際に、登記簿の調査を行うと、とっくに弁済は終わっているだろうと思われる古い抵当権の登記が、抹消されずに残っていることが少なからずあります。債務を完済した時点で抵当権は効力を失ってしまいますので、登記簿上に残っているのは「抵当権の残骸」のようなものですが、その物件を担保にして融資を受けたり、売却しようとする際には、必ず、相手方から、抹消登記をするように求められます。債権者や買主からは、自身の完全な権利行使を妨げる障害物とみなされてしまうからです。

抵当権者が金融機関の場合は、調査や書類の取り寄せに時間を要することはありますが、抹消登記に協力してくれないなんていうことは、まずありませんので、あまり心配はいりません。と言っても、金融機関も合併したりされたりの再編の結果、「借りた時の銀行はもうない」なんていうこともあり得ますので、面倒な手続きを増やさないために、完済したら、速やかに抹消するに越したことはありません。

とても大変なのは、抵当権者が個人で、登記簿上の住所に訪ね当たらない場合です。現在、相続登記の依頼を受けて、業務を進めている物件には、大正11年に設定された抵当権が残っています。抵当権者が、たまたまお身内の方でしたので、不動産とともに抵当権も相続登記をして、抹消することができそうですが、赤の他人だったら、こうはいきません。登記簿上の住所と本籍が相違している場合は、相続人を探すことすらできないかもしれないし、運よく連絡が取れたとしても、あずかり知らない抵当権の抹消登記の義務者として、快く協力してもらえるとは限りません。最悪の場合は、実体のない古い抵当権や根抵当権の抹消登記のために、裁判をしなければならないという結果になってしまいます。

住宅ローンを完済した後に、金融機関から受け取った封筒がそのままになっていませんか?ちゃんと抹消したかどうか不安な方は、お近くの法務局の窓口で、登記事項証明書(1通600円)もしくは登記事項要約書(1通450円)をとって確認されることをお勧めします。

2015年4月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : sasakihiroko